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高岡市の雨晴海岸に伝わる義経岩伝説を基にした新作のオリジナル歌舞伎
カテゴリー :イベント
高岡市の雨晴(あまはらし)海岸には、兄の源頼朝と仲たがいした源義経主従が北陸路を通って奥州に落ち延びる途中に雨晴海岸でにわか雨にあい、雨宿りをしたという「義経岩」という岩があります。(「雨晴」という名称もこの伝承によります)
この「義経岩」に伝わる伝説を基に、日本初の試みとなる、富山で制作される完全オリジナルの本格的な歌舞伎作品が来年2月に、富山と高岡の両市で初演されます。
演目は「義経守護岩 新説雨晴譚(しんせつあまはらしものがたり)」。帆之亟(はんのじょう)さん扮する奥州落ちの源義経一行が、伏木の浜で一休みしていると、この浜の絶景を愛でに来た美鈴姫(富山市出身の麻尋(まひろ)えりかさん)の一行に出会う。やがてうたげが始まり、姫が舞いを披露すると姫が何かに取りつかれたようになる。姫に乗り移ったのは…。
発表されているあらすじはここまでですが、林与一(よいち)さんが、壇ノ浦の合戦で死んでいるはずの、平家一門の平経盛(つねもり)にキャスティングされていることを見ると、姫に乗り移ったのは「平経盛の亡霊」ではないかと予想されます。
能の人気曲「船弁慶」では、西国に落ち延びる源義経一行が船出しようとすると、壇ノ浦の合戦で死んだ、平家一門の平知盛(とももり)の霊が海上で義経主従を悩ませるという有名なシーンがありますので、そこから類推すると、容易に想像できます。
ただし、この「新説雨晴譚」ですが、「本格的な歌舞伎作品」となのっていますが、本格的な歌舞伎役者は一人も出演していません。あえて言えば林与一さんが元歌舞伎役者であることぐらい(歌舞伎の家の出身で若い頃は歌舞伎役者でしたが、今では時代劇俳優です)。制作陣には歌舞伎関係者も加わっていますが、演ずる側では帆之亟さん、林啓二さん、藤間勘左さんの3人は日本舞踊家です。そもそも本格的な歌舞伎には女優は出演しません。女性の役も男性が演じます(女形)。
不思議に思っていたのですが、いろいろ調べていたら、原作・演出の竹柴源一さん(舞台創造研究所代表)は、いわゆる「本格的な歌舞伎」を「家柄歌舞伎」と呼び、昔は栄えていた「自由で平等な歌舞伎」の復興を中心に活動を行っていると知って、納得しました。(→くわしくはこちら)
麻尋えりかさんのブログを見ると、歌舞伎のお稽古にいそしんでいる様子が綴られています(→こちらやこちらやこちら)。
2月の上演が楽しみですね!
★北日本新聞の報道はこちら。
(SH)