高岡鋳物のまち・金屋町に受け継がれる 御印祭(ごいんさい)
ものづくりのまち・高岡。
この地は、江戸時代のはじめに加賀前田家二代当主・前田利長が鋳物師を招いたことをきっかけに、鋳物のまちとして発展してきました。
そのはじまりの地とされるのが、千本格子の町並みが残る金屋町です。
金屋町では今も、鋳物の歴史や職人たちの営みが、まちの空気の中に息づいています。
毎年6月19日と20日に行われる御印祭は、そんな高岡のものづくりの歴史と深く結びついたお祭りです。
前田利長の命日でもある新暦6月20日に高岡鋳物の基礎を築いてくれた御恩を、金屋町の住民が感謝を込めて遺徳を忍び踊りを奉納します。
そして、一般の方へ踊りを披露するのが6月19日の前夜祭です。
子どもから大人までが、金屋町の石畳み通りを宵闇の中「弥栄節(やがえぶし)」(通称・やがえふ)」に合わせて踊り流す、幻想的な雰囲気をご覧いただけます。
今回は、「ものづくりのまち・高岡」に興味を持つ方へ向けて、御印祭前夜祭の舞台裏や弥栄節の練習風景、地域で受け継がれていく祭りの姿を取材しました。
私自身も高岡伝統産業青年会の一員として毎年御印祭に参加しており、実際に町流しの練習や当日の様子を間近で見てきました。
あわせて、日中に楽しめる高岡散策やものづくり体験もご紹介します。
祭りを通して、高岡のものづくり文化や、金屋町に流れる時間を感じていただけたら嬉しいです。
(地域おこし協力隊・布施)
目次

伝統の音色が響き出す、「弥栄節」の舞台裏
私自身も、高岡伝統産業青年会の一員として、毎年この御印祭に参加させていただいています。
参加する中で感じるのは、御印祭の魅力は御印祭前夜祭当日の華やかな町流しだけではないということ。
町流し本番までの練習や準備の時間にも、この祭りならではの魅力が詰まっています。
練習では、弥栄節に合わせて、竹を持つ角度や腕の動き、歩幅、体の向きなどを丁寧に確認していきます。
弥栄節は、かつて鋳物師たちが作業の中で口ずさんだとされる作業唄です。
踊りの振り付けをよく見ると、鞴(フイゴ/金属を溶かす炎に風を送り、火力を強める巨大な空気入れ)を引く動きや型に溶けた金属を流し込むような所作など、随所に鋳物づくりのエッセンスが散りばめられているのです。
竹を扱う動きや、体を大きく使う所作からは、ものづくりの町・金屋町ならではの歴史を感じることができます。
一見ゆったりと見える踊りの中にも、動きをそろえ、美しく町を流していくための細やかな工夫があります。
そして、この祭りを受け継いでいるのは、大人たちだけではありません。
次の世代へ受け継がれる、金屋町の踊り
金屋町の子どもたちの町流し本番に向けた練習も見学しました。
大人の動きを見ながら、手ぬぐいや竹を持ち、少しずつ踊りを覚えていく子どもたち。
最初は少し照れくさそうにしていた子も、繰り返し練習するうちに、だんだんと動きが揃っていきます。
その姿を見ていると、御印祭が単なる年中行事ではなく、金屋町の暮らしの中で大切に受け継がれてきた祭りなのだと感じます。
「大人から子どもへ。」
地域の中で踊りが受け継がれていく時間にも、御印祭ならではのあたたかさがあります。
町流し本番当日は、子どもたちの踊りにもぜひ注目してみてください。
弥栄節が金屋町に響く町流し当日
御印祭の前夜祭では、金屋町の石畳通りや昭和通りを舞台に、民謡「弥栄節」に合わせた町流しが行われます。
日が暮れ、提灯の明かりがともり始めると、千本格子の町並みは昼間とはまた違った表情に。
通りには、弥栄節の唄と演奏が響き、踊り手たちがゆっくりと町を流していきます。
町流しのすぐそばでは、唄い手や演奏者の姿も見ることができました。
三味線や胡弓(こきゅう)、太鼓の音色、そして力強い唄声。
その音に導かれるように、踊り手たちの手ぬぐいや竹が揺れ、通り全体がひとつの大きな舞台のように感じられます。
練習で何度も確認していた動きが、夜の金屋町の景色の中で重なり合う瞬間。
そこには、当日だけを見ているだけでは気づきにくい、積み重ねてきた時間の美しさがありました。
御印祭の町流しは、ただ踊りを眺めるだけでなく、音、灯り、町並み、人の気配が一体となって味わえる時間です。
ものづくりの歴史が息づく金屋町で、弥栄節が響く夜。
昼間とはまた違った幻想的な景色に。
ぜひ現地で、その空気を感じてみてください。
【前夜祭 弥栄節町流し】
日時:毎年6月19日 19:00~21:30
場所:金屋町石畳通り、金屋本町通り
【本祭 奉納踊り】
日時:毎年6月20日
時間・場所:
16:00~ 前田利長公墓所
17:00~ 金屋緑地公園石碑前
17:00~ 児童町流し 金屋町各町内で順次
19:00~ 祭典 有磯正八幡宮神輿巡行
「ものづくりのまち・金屋町を体験するなら」
御印祭前夜祭をより深く楽しむなら、昼間は金屋町周辺でものづくり体験をしてみるのもおすすめです。
金屋町は、高岡鋳物発祥の地。現在も、鋳物制作や錫アクセサリー作りなど、高岡の伝統技術に触れられる体験スポットがあります。
自分の手でものづくりに触れたあとに歩く金屋町は、また少し違った景色に感じられるかもしれません。
そして夜には、千本格子の町並みに響く弥栄節の音色と町流しへ。
ものづくりの歴史や人の営みを、昼と夜の両方から感じられるのも、金屋町ならではの楽しみ方です。
Column
あわせて楽しみたい、金屋町のものづくり体験
御印祭前夜祭をより深く楽しむなら、日中は金屋町周辺でものづくり体験をしてみるのもおすすめです。
金屋町は、高岡鋳物発祥の地。
現在も、鋳物の製作体験や錫のアクセサリー作り、錫のうつわ制作など、高岡の伝統技術に触れられる体験スポットがあります。
昼間は自分の手で金属に触れ、ものづくりの面白さを感じる時間を。
そして夜は、千本格子の町並みに響く弥栄節の音色と、町流しの風景を。
鋳物のまち・金屋町だからこそ味わえる、昼と夜の楽しみ方です。
ものづくり体験については、こちらの記事でも紹介しています。

「昼から高岡を楽しむなら、サイクリングもおすすめ」
昼間は、高岡のまちや海辺の景色を巡りながら観光を楽しみ、夕方からは金屋町へ。
千本格子の町並みや石畳の通りを歩いていると、少しずつ弥栄節の音色が響きはじめます。
日が落ち、提灯の明かりがともる頃、金屋町は昼間とはまた違った表情に。
三味線や胡弓、太鼓の音色、そして通りに集まる人々の気配が、
町全体を祭りの空気へと変えていきます。
御印祭前夜祭は、高岡観光の最後に、ものづくりのまち・高岡の歴史や暮らしを感じられる時間です。
Column
午前から楽しむなら、サイクリングで高岡めぐりも
昼間は自転車で高岡のまちや海辺の景色を楽しみ、夕方からは金屋町へ。
日が暮れる頃、千本格子の町並みに弥栄節の音色が響きはじめると、昼間とはまた違った高岡の表情に出会えます。
ものづくりの歴史が息づく町並み、海辺の景色、そして夜の祭り。
6月の高岡を一日かけて楽しみたい方は、ぜひサイクリングとあわせて御印祭前夜祭を巡ってみてください。

御印祭とあわせて楽しみたい、高岡観光
御印祭前夜祭が行われる金屋町周辺には、高岡ならではの町並みや飲食店、宿泊施設もあります。
昼は高岡のまちや海辺を巡り、夕方からは金屋町へ。
ものづくりの歴史や人の営みを感じられる、高岡ならではの時間をぜひ体感してみてください。






























