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【高岡御車山祭】
陽射しだけをみれば、もう夏が来たのでは…と思うほど、気持ちよく晴れた天気が続いています。
桜の花が市内を彩っていたころには、まだ寒さが残っていたのに。
すこしずつの変化が日々積み重ねられていくなかで、
ある時ふと、目や耳や肌で、季節のうつろいを目の当たりにしたような、そんな気がしてしまうのです。
毎年おなじように四季は巡っているはずなのに。不思議なものですね。
木々が芽吹き、草花が萌え出し、みずみずしいいのちで満たされる、春の山々。
そのあかるくやわらかな姿を“山笑う”と表現するのだとか。
そして、そんな山笑う折、毎年5月1日に高岡で行われ続けているのが、【高岡御車山祭】です。
そのむかし、前田利家公が豊臣秀吉より拝領した御所車を
高岡のまちを開いた二代当主・利長公が町民に与えたのが始まりとされる、この祭礼。
歴史都市・高岡の旧市街を、一文笠に麻裃姿の男たちに伴われた7基の美しい山車が練り廻ります。
特筆すべきは、同祭礼が400年あまりの歴史をもち、国の有形・無形民俗文化財の両指定を受けていること。
「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡 ―人、技、心―」の名で
先日認定されたことが記憶に新しい、高岡における日本遺産の一端をなしてもいるのです。
加えて、見る者のまなざしをとらえて離さないのが、華やかに飾られた各町の山車。
金工、漆工、染織などの工芸技術が光る山車の装飾には桃山文化の面影が残されており、その姿は優美かつ華麗。
歴史薫る土蔵造りの町並みを背景に巡行するさまは、典雅な絵巻物を思わせます。
加賀前田家ゆかりのまち、高岡。
この地で大切に守られてきた雅やかな祭りは
町人たちの誇りや心意気とともに、往時の佇まいを、今に伝えてくれるのです。
(tt)